こはくもなか個人HP「Key_Card」&同人サークル「だぶる★マインド」のブログです★
2016年6月26日(日)「千年バトルin福岡3」にて
配布する新刊・闇表小説のサンプルになります。
闇遊戯×表遊戯にて【吸血鬼パラレル】です。
今回のお話はHPにて掲載している「命の芳香」から続く
『吸血鬼・遊戯と人間・闇遊戯』のシリーズになります。
------------------------------------------------------------------------
『太陽の花』
アスファルトの照り返しに、
じわじわと命まで削られる様な酷暑。
今年もまた日が沈む夕暮れまで、
人ですら太陽の熱を避け過ごすのに、
好き好んで容赦ない夏の日差しの下へ歩み出すのは、
まだ無邪気な子供達くらいだ。
だが、そんな子供の様なヤツに
オレは一人心当たりがあった。
★ ★ ★
帰宅後、遊戯はオレの姿を見るや傍に置いていた
長袖の上着を羽織った。
「見せてみろ」
オレは間髪入れず詰め寄ると
『もう一人のオレ』の腕を掴んだ。
「い、いいよっ!」
必死に誤魔化そうとするあいつを無視し、
強引に袖を巻くり上げる。
現れたのは白い肌に染み出した赤い火傷の様な爛れた痕。
「また…昼間、庭に出たな……」
それは、つい最近も『見覚えのある傷』だった。
「―あっ…」
あいつはいかにもバツが悪そうにしているが……
「外に出るのは『オレが居る時』と『日が沈んでから』だと約束した筈だぜ?」
こんな子供に言い聞かせる様な小言をオレに言わせる、お前が悪い。
「ゴメン……」
あいつは申し訳無さそうに、弱弱しく眉根を下げると目線を逸らそうとしていた。
「相変わらず、命知らずな【吸血鬼】だな」
その『今さらな態度』は、
オレを余計に苛立たせただけだったが…
「―うっ……」
そんな針のむしろに耐えかねてか、
あいつはますます居心地の悪さに縮こまっていた。
もう一人のボクは呆れた様に溜息を零すと、
汗で湿った白いシャツを無造作に床へ脱ぎ捨てた。
「嫌とは言わせないぜ」
それは、もっとも迅速に傷を癒す為に必要な事。
「――二、三日したら治るのに……」
この位なら放っておいても平気なのに……
「後二日も待たせるのか?」
棘のある不機嫌な声色、それ以上に鋭さを増す真紅の瞳。
「……わ、わかったよ……」
今、彼がひどく怒っている事だけは
十分過ぎる程理解できた。
「無理に…しなくて、いいんだよ?」
この行為に、ボクはまだ躊躇いがあったが……
「……早く、してくれないか」
『言い訳』をする時間すら、どうやらボクには与えられてはいないらしい。
「は、はい…―」
急かす様に言い切られてしまえば、
ボクはそんなキミに従うほか無かった。
『飢え』に駆られた【吸血】ではない。
なら、今のボクでも『理性』は保てる。
だから、ボクはまたほんの少し彼の『命』を分けて貰った。
>続く
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続きは「太陽の花」本編をご覧下さいませ☆
配布する新刊・闇表小説のサンプルになります。
闇遊戯×表遊戯にて【吸血鬼パラレル】です。
今回のお話はHPにて掲載している「命の芳香」から続く
『吸血鬼・遊戯と人間・闇遊戯』のシリーズになります。
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『太陽の花』
アスファルトの照り返しに、
じわじわと命まで削られる様な酷暑。
今年もまた日が沈む夕暮れまで、
人ですら太陽の熱を避け過ごすのに、
好き好んで容赦ない夏の日差しの下へ歩み出すのは、
まだ無邪気な子供達くらいだ。
だが、そんな子供の様なヤツに
オレは一人心当たりがあった。
★ ★ ★
帰宅後、遊戯はオレの姿を見るや傍に置いていた
長袖の上着を羽織った。
「見せてみろ」
オレは間髪入れず詰め寄ると
『もう一人のオレ』の腕を掴んだ。
「い、いいよっ!」
必死に誤魔化そうとするあいつを無視し、
強引に袖を巻くり上げる。
現れたのは白い肌に染み出した赤い火傷の様な爛れた痕。
「また…昼間、庭に出たな……」
それは、つい最近も『見覚えのある傷』だった。
「―あっ…」
あいつはいかにもバツが悪そうにしているが……
「外に出るのは『オレが居る時』と『日が沈んでから』だと約束した筈だぜ?」
こんな子供に言い聞かせる様な小言をオレに言わせる、お前が悪い。
「ゴメン……」
あいつは申し訳無さそうに、弱弱しく眉根を下げると目線を逸らそうとしていた。
「相変わらず、命知らずな【吸血鬼】だな」
その『今さらな態度』は、
オレを余計に苛立たせただけだったが…
「―うっ……」
そんな針のむしろに耐えかねてか、
あいつはますます居心地の悪さに縮こまっていた。
もう一人のボクは呆れた様に溜息を零すと、
汗で湿った白いシャツを無造作に床へ脱ぎ捨てた。
「嫌とは言わせないぜ」
それは、もっとも迅速に傷を癒す為に必要な事。
「――二、三日したら治るのに……」
この位なら放っておいても平気なのに……
「後二日も待たせるのか?」
棘のある不機嫌な声色、それ以上に鋭さを増す真紅の瞳。
「……わ、わかったよ……」
今、彼がひどく怒っている事だけは
十分過ぎる程理解できた。
「無理に…しなくて、いいんだよ?」
この行為に、ボクはまだ躊躇いがあったが……
「……早く、してくれないか」
『言い訳』をする時間すら、どうやらボクには与えられてはいないらしい。
「は、はい…―」
急かす様に言い切られてしまえば、
ボクはそんなキミに従うほか無かった。
『飢え』に駆られた【吸血】ではない。
なら、今のボクでも『理性』は保てる。
だから、ボクはまたほんの少し彼の『命』を分けて貰った。
>続く
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続きは「太陽の花」本編をご覧下さいませ☆
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こはくもなか
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女性
職業:
オタク同人・腐女子
趣味:
オタク活動全般
自己紹介:
アニメ「遊戯王DM」の『海馬瀬人』と、CPなら『闇遊戯×表遊戯』好きな同人女です★
基本的に「好き合ってるCPなら性別気にしませんw」
ドール・フィギュア・ミニチュア等の立体系オタでもあります。
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